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最近の新築マンションの間取りを見ると、昨今の生活スタイルの変化、家族構成の変化から和室を取り入れないものも多くみられるようになりました。これは、生活のスタイルの洋風化とリビング重視の考え方によるものと思われます。
普段あまり使用しない客間を残しておくよりも、一日の生活の中で一番長い時間を過ごすリビングをより快適にすごすために、できる限り広くとりたいといったご要望や、家族構成の変化により、お部屋が余っているので、続き間の和室を無くしてリビングを広くとりたいといったご要望を多くいただくようになりました。ここでは和室とリビングを一体化するための方法を検討してみましょう。

 

和室とリビングを一体化するために

■ 何を優先させるか?

年数がある程度経過しているマンションだと、リビングと和室で段差がついているケースがほとんどかと思われます。畳を撤去して、既存の枠の高さにあわせて下地を造作しフローリングを張ると折角の続き間なのに段差ができてしまいます。また、段差解消工事を行ない、新しいフローリングを張ったとしても、今度は既存のリビングのフローリングとの色や雰囲気の違いが出てしまいます。統一感に重点を置かれる場合は、既存のリビングのフローリングも一度剥がして張替えを行なったほうがよろしいかと思いますし、リフォーム用のフローリングを上張りして、それにあわせて和室の方も工事をしていく方法もあります。段差解消に重点を置かれる場合は、枠の撤去や床下地の高さ調整を行ない、既存のリビングと似た色のフローリング仕上げる方法もございます。またいっその事、素材を変えてジュータンや石・タイルなどを張っていく方法もあります。目的を決めて何を一番重視するのかによって、施工内容が大きく変わってまいりますので、現場の状況、ご予算に応じて、最適な方法をご提案させていただければと思います。

■ 畳の下は?

畳を持ち上げて、畳の下がどのようになっているかご覧になった事はありますか?この下地の部分がどのように作られているかによって費用が変わってまいります。比較的多くみられるのが、コンクリート面のスラブか、ベニアが施工されているケースです。この場合、リビングのフローリングの下地も同じ下地になると思いますので、間仕切りの建具枠を撤去して同様にフローリングなどで施工していけば、ほぼフラットになりますし、建具枠に手をいれない場合は枠にあわせてベニアなど高さを調整して施工いたします。発砲スチロールが置いてあり、その下に砂が敷いてある場合は、これらを全て撤去処分して大工さんにあらためて新しく木材で下地を組んでもらう必要がありますので費用が余計にかかってしまう恐れがあります。

■ 天井は?

和室の天井は通常、目透かし天井といわれる、板を溝を開けながら天井に張っていく方法と、板目調のクロスが張っている場合がございます。クロスの仕上げの場合、洋風のクロスに張り替えればよいのですが、目透かし天井の場合一度、薄いベニアを張るなどの工夫が必要になります。また、間仕切りの壁を撤去した場合は床同様、天井もひとつづきになりますので、高さをあわせるために一度和室部分の天井を下地から撤去して作り替える必要があります。

■ 和室特有の部材はどうするか?

和室の場合、建具は襖で枠は白木、壁は砂壁の左官仕上げ、長押や畳寄せ、障子といった独自の部材が使用されております。長押などの造作部材は取り外してしまえばよいだけなのですが、窓枠や障子の枠、建具の枠など交換作業は大掛かりな工事になります。簡単にすませるのであれば、洋室の枠と似たお色で塗装仕上げにするか、また洋室の枠廻りも含めて、塗装をやり直せば、あまりコストをかけずに統一感を出す事ができます。壁を砂壁からクロスに変更する場合、そのままではクロスを張れませんので砂壁の上に一度パテを全体的に塗って下地を作る必要があります。また壁の傷みが激しいようでしたら一度砂壁を剥して下地を作るなど下処理を行ない、クロスを張っていきます。

和室部位の名称

 

こんな工事はいかがですか?

■ フローリングの張替え・上張り

今まで和室だったお部屋を洋室にした場合、リビングなどのフローリングだったお部屋と色の違いが目立ってしまう場合があります。ご一緒にフローリングの張替えはいかがでしょうか。既存のフローリングの剥し及び処分費などが掛かりますが、お部屋全体を同じフローリングで施工する事によって、非常に綺麗に仕上ります。また、既存のフローリングを剥さずに、上からリフォーム用のフローリング(厚さ5㎜程)を張って全体を仕上げる方法もございます。これだとあまりコストをかけずに同じ仕上がりで統一できます。

■ 押入れの工事

押し入れの天袋は高いところにあり、踏み台を使用しなければならず、奥に入れたものを取り出すのが困難な収納です。和室を洋室にリフォームした場合、押し入れの襖をクロス張りにしたり、建具を洋風に作り替えたりすると比較的簡単に雰囲気をあわせる事ができますが、折角ですから押し入れの内部も使いやすくしてみてはいかがでしょうか。一度押し入れ廻りを解体して、収納したいものにあわせて造作していきます。例えば半分季節の布団用に押し入れ風に造作し、半分は洋服を収納できるようしたり、細かいものを収納できるよう可動棚にしたり自由に設計する事が可能です。また扉をクローゼット扉に変更すると、床から天井までの大型収納になり、使い勝手もアップいたします。床の仕上げも段差無しで内部までフローリングを張り込む事ができますのでお荷物に出し入れが楽にできます。

■ 可動間仕切り工事

完全にお部屋を一体化させるのでは無く、普段は広く使い来客時などには間仕切りたいというお客様には可動間仕切りをおすすめいたします。アルミ枠にアクリル板を使用した建具は、光を取り入れる事ができ、圧迫感も少ないので非常に人気があります。またより完全に仕切りたいお客様にはパネル式の間仕切りをお勧めいたします。これは採光部がございませんので、視線を気にする事なく間仕切る事が可能です。また可動間仕切りには、引き込み式と折りたたみ式があり用途にあわせてお選びいただく事ができます。引き込み式は完全に扉を収納する事が可能ですが、収納する分の壁が必要になってきます。折りたたみ式の場合、格納用の壁は必要無いのですが、折りたたんだ扉がレール上に残ります。

 

工事にあたって

今まで様々な方法を見てきましたが、完全に和室の雰囲気を無くしたいという方もいらっしゃれば、多少古い部分が残ってしまってもコストを優先させたいという方もいらっしゃると思います。現場の状況やお客様のイメージによって施工方法が変わってくるかと思いますのでお気軽にご相談いだだければと思います。